fc2ブログ

アイコトバ♪

【二次創作】パーマンの日常-やきもち☆ウィンター-【5】

こんばんは~!
今日は更新時間がちょびっと遅くなっちゃいました、テヘ


今週木曜日ぐらいには
また関西や関東に雪が降るとか何とか言ってましたけど、
天気予報を見てたら、どうやら免れた?みたいですね。
大雪のために被害が大きくなっている地域もあるので、
何とかこのまま無事に過ぎて行ってほしいと思います。


ちょっと降るだけなら嬉しくもありますけど、
やっぱり何事もほどほどが一番ですよね(汗)


さて!今日はお話の第5話!
物語的には最終回に当たります。
2話分ぐらいの長さになったので分けようかと思いましたが、
分けるとぶつ切りになっちゃって成り立たない感じがしたので、
一気に載せちゃうことにしました。


それでは、今日もつづきからどうぞ!




~5~



「はぁ~…。」

家に戻ったミツ夫は、夕飯を食べたあと自分の部屋へ戻り、
ベッドの上で膝を抱えてうずくまっていた。
ため息が力なく消えていく。

「パパは今のところ落ち着いてるみたいだね。」
「うん…。」

ベッドの縁に腰掛けていたコピーがミツ夫に話しかけた。
パパは、ママの作ったお粥を食べ、
ミツ夫の買ってきた風邪薬を飲んで、そのまま寝てしまったらしい。
ぐっすり眠れば回復も早いだろう。

問題はミツ夫の方だ。
あまりにも元気のない様子に、コピーも彼を茶化すことが出来ない。

「君も運が悪いよねぇ…。
 1号のマフラーを着けたままミッちゃんに出くわすなんてさ。」
「…うるさいよ!」

ミツ夫はボソッと返事をした。
自分は、“マフラーをプレゼントしたい有名人”の1位を獲得したはずなのに。
教室でキャッキャと浮かれていたミチ子の顔が思い浮かぶ。

“一生懸命心を込めて編んだのよ。”

そう言って、頬を赤らめながら1号にマフラーをくれたシーンも思い出した。
それと同時に、ミツ夫の首からマフラーをむしり取るように奪い、
自分の頬を思いっきり引っぱたいたミチ子の姿も思い浮かんできた。
あの時の彼女の怒りに満ちた表情は、
思い出せば思い出すほど心が捻じれるようであった。
耐えられなくなってきたミツ夫は、ギュッと目を閉じた。


『寒い季節は、好きな人を暖めてあげたいです。』


その時、ふと雑誌に載っていたスミレの言葉が胸をよぎった。
写真の彼女は、まるで天使のように穏やかで柔らかい顔つきだった。


(何だよ…!
 僕、本当はスミレちゃんにマフラーを編んでもらいたかったのに…!)


コピーは、ミツ夫が鼻をすすっているのに気が付いた。
膝に顔をうずめたまま泣いているように見える。

「ミツ夫くん?え…?な、泣いてんの?」

コピーは内心慌てていた。
こういったことでミツ夫が泣くことはあまり無いからだ。
だが、“もう一人の自分”としてはやはり他人事ではない。

「…泣いてないよ!」

ミツ夫はパッと顔を上げてコピーの手を振り払い、
そしてすぐに壁の方を向いてしまった。

上手く説明は出来なかったが、
コピーにはミツ夫の気持ちが手に取るように分かった。
そして彼の隣に近づき、そしてそっと肩に手を置いた。
ミツ夫はしばらく黙っていたが、小さな声でボソッと呟いた。

「分かってるんだ。スミレちゃんは、毎日忙しいもんな。」
「うん…そうだね。」

ミツ夫は俯いたまま言う。
コピーはそれに返事をする。

「でもさ…。」
「うん。」

沈黙が部屋の中に流れる。
とても静かである。

「でも……あれ?」

ミツ夫が何か言いかけてやめた。
ベランダの方で何やらガタガタと物音がするのだ。
さっと立ち上がり、彼はそちらへと歩み寄った。

「ちょっと、早く開けなさいよ!」
「嫌よ、ダメだったら!」
「ここまで来たのに何してるのよっ!」
「ダメだったらダメ…!!あっ!」

ベランダでは、押し問答をしている女の子が二人。
パー子ともう一人、ダッフルコートのフードを目深に被ってはいるが、
スミレコピーだということが分かる。

ベランダの柵にしがみ付いて離れようとしないパー子の手を、
スミレコピーが引っ張っているのだ。
そんなふうにしているところへ部屋のカーテンが突然サッと開き、
ガラガラと戸が開けられたことに少し戸惑いつつ、
パー子もようやく観念した様子を見せた。

「…何してんの?そんなところで。」

中からミツ夫が二人に声を掛けた。
気まずい雰囲気が漂っている。

「べ、別に何もしてないわよ!」

ふんっと顔をそむけたパー子ではあったが、
スミレコピーに睨みつけられて今度は逆の方向を向いてしまった。

「そんなところにいたら寒いから、中に入りなよ。」

“さぁ”と手で合図され、彼女たちはミツ夫の部屋に上がった。
部屋の中は暖かかった。

「やぁ、君たちどうしたの?」

突然の客に、ミツ夫コピーがにっこりと話しかけた。
スミレコピーはほんのり赤くなり、もじもじしながら微笑んで見せた。

「ほらっ!早く、パー子ちゃんてばっ!」

自分の照れているのをごまかすのも兼ねて、
スミレコピーはパー子の背中を押した。
押された勢いでドンと一歩前に飛び出した彼女は、
後ろ手に何か隠し持っているように見える。
目が合った瞬間、思わずミツ夫はパー子から目を逸らした。

「あの…えっと…。」
「何してんのよっ!パー子ちゃんらしくないわよ!」

スミレコピーに言われ、パー子はキッと表情を変えた。
今度は真っ直ぐミツ夫の方を見つめている。

「み、ミツ夫さん!?」
「な、何だよっ!」

おかしな沈黙が流れたが、もう逃げも隠れも出来ないといった様子で
パー子は自分の後ろからサッと何かを出してきた。
それは、ピンク色の柔らかそうな袋の形をした包みに
赤いリボンが巻いてあった。
どう見てもプレゼントの体をなしている。
ミツ夫は黙ってそれをじっと見ていた。

「何よ!早く受け取りなさいよっ!」
「え?う、うん…。」

パー子に言われるがままに受け取ったは良いが、
またそれを手に持ったままじっと見つめているミツ夫。
彼女の方を見たあと、するりとリボンをほどいてみた。
中からは、ライトブルーのマフラーがゴロリと出てきた。

編み目が揃わずガタガタしており、模様も何もなくシンプルなデザイン。
広げてみると、どことなく歪んでいるように見える。
だがまたしてもミツ夫はそれを見ているだけで何も言わない。
今度こそパー子は気まずくて居てもたってもいられなくなった。

「これでも一生懸命編んだのよ!ものすごく苦労したんだから…!」
「…うん。」
「あたしが編んであげないと、誰にももらえないかと思ってたんだけど…」
「うん。ありがとう。」

そう言いながら、ミツ夫は自分の首にそのマフラーを巻き付けた。
ごわごわした肌触りではあったが、不思議とフィットする気がした。

「わぁ~、いいなぁミツ夫くん!」
「出来たてほやほやなのよ。早く渡したくて飛んできたの。」

仕事から帰って来たスミレコピーは、部屋で泣いていたスミレから話を聞き、
大慌てで最後の仕上げをしてマフラーを持ってきたのだ。

「秋から編んでたのよね。なのに、今頃になっちゃって。」

嬉しそうに笑うコピーの横で、スミレコピーが補足するように付け加えた。
そして、恥ずかしそうにしながら、
自分も手に持っていた色違いの黄緑色をした包みを取り出した。

「えっ!僕にも?嬉しいなぁ!」
「あたしも一緒に編んだの。」

ミツ夫コピーは喜んでスミレコピーから受け取った青いマフラーを首に巻いた。
同じくガサガサして出来栄えはあまり良くなかったが、
素直に嬉しかったのだろう。

「ありがとう!使わせてもらうよ!」
「こ、こんなので良かったら…!」

スミレコピーは嬉しさのあまり
心臓が飛び出しそうなぐらいにドキドキしていたが、
それを悟られたくなかったので必死に平静を装っていた。
本当のところは緊張のあまりに何と言えばいいか
言葉が見つからなかったというのもあったかもしれない。

目の前にはにこにこしているミツ夫コピーがいる。
スミレコピーはこの上なく幸せを感じていた。

「あの二人、見てごらんよ。」

ミツ夫コピーが微笑みながらスミレコピーの耳元に囁いた。
ふと、言われた方向を見てみると、
ミツ夫とパー子は向かい合って、
正座をしたまま会話もなく照れた表情でうつむいている。
まるでお見合いでもしているかのようである。

「いつもの二人じゃないみたいだね。」
「本当ね。」

コピーたちはクスクス笑いながら、
微笑ましくもう一人の自分の姿を眺めていた。

「せっかくだから、二人でどこか行ってきたら?」

ミツ夫コピーが提案した。
窓の外をふと見ると、今夜は明るい月の夜だ。

ミツ夫は、ぶっきらぼうに“そうだな”と言って立ち上がった。
そしてポケットからパーマンセットをひょいと取り出してパー着したあと、
まるでダンスにでも誘うかのように、パー子の方にサッと右手を出した。
どことなく照れた表情は隠せない。

「夜空の散歩、っていうのも、悪くないかもね。」

その姿をじっと見ていたパー子だったが、
にっこりとほほ笑んだあと彼の手をとって自分も立ち上がった。

「いいわよ、行きましょ。」

ベランダの戸が開けられ、二人はふわりと空へ飛び出した。
風に乗ってあっという間に高いところまで行ってしまった。

1号の首に巻かれたマフラーが風に揺れているのが分かる。
そっとマフラーに右手を当てながら月の光の下を飛び、
彼はなぜだか自分が誇らしい気持ちになるのを感じていた。
隣にはパー子が寄り添って飛んでいるのが見える。

「良かった。パー子ちゃん、嬉しそうだった。」

ホッとした表情で二人の飛んでいった方向を見つめるスミレコピー。
後ろから、“そうだね”とミツ夫コピーが相槌を打つ。
気が付けば、自分たちも部屋に二人きりなのだ。
急に緊張が高まってきたスミレコピーに対し、ミツ夫コピーが言う。

「僕らはトランプでもしながら待ってる?」
「そ、そうね。」

月の光が眩しい夜は、きっと幸せの魔法が掛かっているに違いない。
何もかもが輝き、ときめきを与えてくれるのだ。

「なんや、あの二人、いつの間にか仲直りしてるわ!」
「アッキャァ~!?」
「あのあと起きた強盗事件、わいら二人で片付けたけど、
 こんなんやったら手伝ってもうたら良かったで!!」
「アヒー!!」

寄り添って飛ぶ1号とパー子の姿を見つけた
パトロール帰りのパーやんとブービー。
ケンカしていたはずなのに仲良さげな様子を見て、
正直 力が抜けるような気分になる。

それなのにどうしてだろう、彼らのことを許してしまうのは。
これもきっと、月の光の魔法に違いない。



【おわり】




★あとがき★


今回は、冬の、マフラーのお話でした。
マフラーの話は2年ほど前にちょこっと考えていて、
でも何となくタイミングを外したのもあってそのままになってました。


その時には簡単な骨組みしか出来ていなかったんですけど、
今回まとめるにあたって、夜寝る前に布団の中で考えました。
お陰で目が冴えて眠れなくなったんだっけ…(笑)


冬になると、好きな人にマフラー編みたくなりますよね!
私もそうでしたよ!一生懸命編みました♡


美庄くんとの対決とか、ミッちゃんとのことも纏めなきゃなぁ。
ゆっくり考えることにします。
それでは、今日はこの辺で。
読んで下さった皆さま、ありがとうございました。
またよろしくお願いいたしますm(__)m


スポンサーサイト



Last Modified :

Comment







非公開コメント
マフラーあったかい!
あんじゅさん、こんにちは。
編み物話、読んでいてこちらまで暖かくなりました。久々の小説、お疲れ様でした。
二人のコピーの本人達へのフォロー、いつもながらgood job! ですね。
次回作も楽しみにしてます。
マイペースでこれからも頑張ってください。応援してます。
2014-02-19-08:11 パット
[ 返信 * 編集 ]
パットさんへ♪
パットさん、こんばんは!
コメントありがとうございます。

このお話は2年前の冬に何となく考えていたもので、
ようやく形にすることが出来ました。

原作のパーマンではミツ夫くんとスミレちゃんは超遠距離恋愛状態なので、
幸せになって欲しいという願いを込めて、
そんな私に代わってコピーたちに動いてもらってる感じですかねぇw

まだまだ放置したままのお話もあるので、
ゆっくりまとめていきたいと思います。
今回も読んで下さってありがとうございましたm(__)m
2014-02-19-22:22 あんじゅ
[ 返信 * 編集 ]
すごく楽しかったです
近頃、パーマンにはまっています。

つい昨日、このブログを発見し、二次創作があまりにも面白かったので一日で読み終えてしまいました。
これまでたくさんの二次創作を読んできましたが、貴方のものが、一番原作のトーンに忠実で、本物の続篇と見紛うほどでした。

自分の描いた作品で、人を楽しませることができるって、素晴らしいですね♪

またいつか更新してくれることを期待しています。
2017-08-17-08:55 FF信者
[ 返信 ]
FF信者さんへ♪
初めまして、コメントをどうもありがとうございます!
一日で全部読んで下さったとは、驚きとともに嬉しすぎて手が震えました。
原作、そして、アニメのパーマンの続きが観たくてたまらず、
彼らが中学生になったらこんなかんじかなぁということで書いてしまいました!(笑)
喜んでいただけたとのことで、書いて良かったなぁと思っています。

更新の方は滞っているのですが、ネタはまだあります。
それをなかなかまとめられていないのですが、
そんなふうに言っていただけたら頑張らないとなぁという気持ちになりますね。
本当にどうもありがとうございます。
これからも地道にではありますが、頑張っていきますので、
どうぞよろしくお願い致します。
2017-08-17-19:37 あんじゅ
[ 返信 * 編集 ]
ご返信ありがとうございます。
まだネタがある、という言葉を聞いてうれしく思います。

更新楽しみに待ってます!
2017-08-19-10:58 FF信者
[ 返信 ]
FF信者さんへ♪
その時はまた、どうぞよろしくお願いします!(*^_^*)

2017-08-20-13:20 あんじゅ
[ 返信 * 編集 ]